プロビジョナルレストレーションとは？
聞き慣れない言葉ですが、仮歯が近いです。目的をもった仮歯という感じです。
ではプロビジョナルレストレーションの目的の大事なところを解説していきます。
①歯の削りの評価をする
被せるにしても詰めるにしても、歯を削るわけですが、仮歯の厚みが最終的な補綴物の厚みになります。
補綴物は金属なのか？セラミックなのか？によって必要な厚みが違います。
補綴物に応じた厚みが確保出来ているかどうかの判断を仮歯で行います。
例えばセラミックを被せる場合、削る量が不足していればセラミックの厚みが薄くなり、割れやすかったり綺麗な色が出なかったりということになります。
すなわち削る量を目視と仮歯の厚みの両方で判断するわけです。
②形態の模索ができる
前歯に被せを入れていく場合に、どのような形の歯にするかで顔の印象が変わるのは言うまでもありません。
元々の自分の歯の形が残っていればそれに似せて作るのも１つの方法です。
しかしながら元々の歯の形が分からなくなっている場合には仮歯を修正しながら患者さんが納得いく形の仮歯にしていく作業が必要です。
この仮歯の造り込み作業を行わず最終的な補綴物を完成させてしまうと、違和感や妥協が生じる可能性が高くなります。
言い換えると理想の歯の形を患者様と歯科医と歯科技工士が共有するということです。
③噛み合わせの確認ができる
複数の歯に同時に被せ物を作る場合(例えばブリッジ)では
まずは仮歯を製作し使用して頂き問題ない事を確認した上で、その仮歯の模型を参考にしながら最終的な被せ物を製作します。
ブリッジの高低は難しく、仮歯の情報が大変役立つのです。
④綺麗な型採りをする為に
歯肉が引き締まっていると綺麗(正確)な型採りができるのです。削る場所には虫歯があったり合わせ目が合っていない補綴物が装着されていたりして歯肉に炎症がある場合が殆どです。
歯肉が引き締まっていないと綺麗(正確)な型採りは不可能です。
まず虫歯をしっかり削ります。なるべく綺麗なラインで過不足なく削った後に、削ったラインに合った仮歯を作ります。それらの作業を場合によっては数回繰り返すことで歯肉が引き締まっていきます。歯肉が引き締まれば綺麗な型取りが可能になります。
型採りを大切と考えるのは歯科医としての拘りと良心です。
どのようにして正確な型採りをするのかは
「型採りは大事だけど簡単では無い」をクリックしてご覧ください。
他にもプロビジョナルレストレーションの意義はいろいろあります。
すごく大事な作業です。
そんなことで私は1日の診療時間の半分ぐらいを上記の作業に費やしているかもしれません。