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金属床義歯

別名メタルフレーム義歯と呼ばれるぐらい全体の構成の中で金属の部分が多いです。

金属床義歯

*金属を多用するメリットは

  • とにかく薄く作製でき違和感が少なく、かつ丈夫であるということです。
  • プラスティックに比べるとたわみが少なくなることで、しっかり咬めて金具をかけた歯や残存歯の負担が減る。
  • 精密加工が可能な金属を用いることで歯や歯茎との段差隙間が無く舌触りがスムーズ。
  • 義歯を維持安定させる為の金具(バネ)の適合性が良く、したがって義歯の安定が良い。
  • 設計に自由度があり、目立たない位置に金具を設定することができたり、場合によっては義歯の範囲を狭くすることも可能。
  • 義歯の主要な部分が丈夫で適合性の良いメタルフレームで出来ていることにより、義歯のメインテナンス(修理、修正)が行いやすく、すなわち長期間使用しても使い心地が悪くなりづらい。

義歯のメインテナンスの必要性、重要性

☆義歯はプラスチックや金属の細い部分があり、使っていくうちに欠けたり折れたりすることがあります。
また歯茎が痩せることで隙間ができ、義歯が垂直的、水平的に動きが出てきます。
この動く義歯をそのまま使用し続けると残存歯に無理な力がかかり、歯の動揺や移動をきたしてしまいます。

したがってこのような口腔内の変化に対して修理修正が必要になってきます。
これらの修理修正作業を正確に行えるのがメタルフレーム義歯の最大の特徴かもしれません。

また金属床義歯は基本自費診療であり、メタルフレーム以外の構成部分すなわち欠損部分(歯が無い部分)の人工歯及び人工歯を支えるプラスチックの部分の製作も熟練した歯科技工士により正確で綺麗な仕上で製作されます。
またプラスチックの素材や人工歯も上質なものを使用します。
これらのことにより経年的な劣化(摩耗、変色、汚れの付着)を最小限にすることができるのです。

☆いろいろ述べて来ましたが、全ての歯科治療の中で、義歯とりわけ部分入れ歯は装着感、使用感、耐久性の点で保険と自費の差が最も出やすいと私は感じております。
患者様にご満足頂いて大切に長くご使用されているケースが多く費用対効果は高いと思っております。

☆メタルフレームに使用する金属について

当院で主に使用している金属はコバルトクロム合金です。
ではこの合金についてご説明いたします。
金属素材であるコバルト63%・クロム30%・モリブデン5% などによる耐摩耗性に優れた合金。生体親和性の高い金属で人工関節などに用いられております。
ではなぜ安全なのか?
少々専門的な内容になりますが大変重要な部分なのでご一読ください。
イオン化傾向が低い貴金属(Au金・Ptプラチナなど)は腐食速度が遅いが,イオン化傾向が高い非貴金属の中にも強い耐食性を示すものがあり、
CrクロムやTiチタンがそれにあたります。
この金属は腐食の初期段階で表面に緻密 で均一な酸化膜を生成します。
クロムやチタンの酸化膜は絶縁性が高く金属と環境とを遮断するバリアとして機能し、これを「不動態被膜」といいます。
この不動態皮膜の形成が、生体内に用いる金属として安全であると言われる理由です。
日本よりも健康に対して意識の高いヨーロッパでも認められる材料です。

もう1種類の金属として純チタンがあります。
純チタンがコバルトクロム合金より優位なところは金属アレルギーの原因金属元素としてはチタンTiはリスクが低いということが知られており、人工関節などの整形外科領域及び歯科においてはインプラント(人工歯根)に用いられております。
しかしながら純チタン、コバルトクロム合金ともに前述の不動態被膜によって金属のイオン化溶出は阻止されているので両者共にメタルの身体への影響を心配する必要はないと考えます。

歯の治療に金属を使わないという考え方が昨今の潮流で

昨今、義歯以外では金属に代わってセラミックやレジン(プラスチック)を多用する傾向にあります。
しかしながら義歯においては
金属の丈夫さにより薄く加工することが可能かつ丈夫である
金属の寸法精度の高さにより安定感を得られる
など他の材料(セラミック、レジン樹脂)より金属を使用することで義歯の使い心地は良いものになるわけです。
義歯の性能アップと身体への悪影響をほぼ考えなくても良い
を両立させる為にも、金属の選定は大事だということです。